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社会変化、ネットも台頭 生命保険業界の現状は…

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2010年3月25日


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 景気悪化の影響で消費者の保険離れが進む中、生命保険業界にも変化が生まれてきています。社会状況の変化やネット企業の台頭などで大きく変わった生命保険の現状を取材しました。

 「入ってないですね」「一時有名な生命保険会社だったんですけど、リーマンショックで解約しました」「生命保険でしたっけ? あんまり検討してないです。興味ないわけではないですけど、高いですもんね」と話す街の人々…。かつては高い加入率を誇った生命保険ですが、景気悪化による世帯年収の減少など経済的な要因で加入率は年々低下傾向にあります。生命保険文化センターの調査によると、生命保険の世帯加入率は94年の95%をピークに下降し続け、去年は86%まで落ち込みました。ファイナンシャルプランナーの吹田朝子さんは「収入面が伸びない、横ばい、ダウンしてしまっているという切実な悩み事が増えているので、毎月の固定的な支出である保険料をできるだけ抑えて家計にも少しでも余裕を持たせたいという人が増えている。保険料の節約やコストダウンといった意識が非常に高まっている」と話します。さらに、企業のセキュリティー強化などで職場への出入りが制限されることや、女性の社会進出によって平日に誰も家にいない家庭が増えるなど、従来の保険営業がしにくくなっている現状もあります。
 こうした状況を受け、生命保険大手の明治安田生命は来月から土曜日も営業することを決めました。これについて同社の根岸秋男執行役は「会いたくてもなかなか会えないという変化に対応して、土曜日だったら会えるとか土曜日に訪問してほしいといったお客さまの声が非常に大きくなっていることもあって、今回の実施に踏み切った。われわれの業界にとっては非常に新鮮な、全く新しい試みと言えるかもしれない」と話します。
 一方、こうした状況の中、加入者数を急激に増やしている生命保険会社があります。日本初のインターネット生保としておととし4月に設立されたSBIアクサ生命です。保険料の安さを武器に、おととし6月に488件だった契約数は景気悪化も追い風にことし2月には1万5460件まで増えました。同社の今井隆社長は「こういう景気だからこそ、いま支払っている保険料を見直すことが大事だと思う。そういったお客さまがわれわれを選んでいただいていると感じます」「私たちは営業社員が1人もいません。その分、ホームページが営業マンです。そういった人件費などを保険料の中で削減して安くできている」と語ります。
 分かりにくいイメージがある保険ですが、このネット生保では医療保険1つと死亡保険2つというシンプルな3つのプランに絞っています。契約や解約もホームページ上で簡単にでき、自分にあったプランを短時間でシミュレーションすることもできます。「早い方だと5分から10分で最初のシミュレーション結果を得ることができる。対面だとどうしても相手が気になってしまうが、ネットの場合だと短い時間でやることも逆に時間をかけてゆっくり検討することもできる。朝でも真夜中でもできるので、時間にとらわれずに自分がリードして保険を選ぶことができることも大きな特徴」(SBIアクサ生命・山本秀一執行役員)といいます。
 自分の意思で自分に合ったものを選べるメリットがある一方で、ファイナンシャルプランナーの吹田さんは「自分で全部意思表示をしながらやっていくことが必要になるので、コールセンターなどをうまく活用していく努力が必要になってくる。中には、伝統的な保険会社で長い付き合いがあって安心だという人もいますし、人それぞれ価値観によって変わってくるだろう」と、消費者自らが努力をする必要があると指摘します。
 かつてはほとんどの人が加入していた生命保険――。景気悪化や社会状況の変化を受けて各社の競争が厳しくなる中、週末営業やネット販売など、営業方法はより消費者本位のものに変わりつつあります。