TOKYO MX NEWS
前のニュース

漫画の性描写規制 改正案めぐり賛否

次のニュース
2010年6月11日


動画
 若年者の性を対象にした漫画の規制強化を巡り、きょうも都議会で論戦が繰り広げられました。性描写の度合いに基準を設けて子どもから遠ざけるべきか、表現の自由を尊重するのか、改正案の賛成・反対それぞれの意見をまとめました。
 発端は、都が子どもを性の対象として描いた漫画の一部を『不健全図書』に指定するという青少年健全育成条例の改正案を3月の都議会にはかったことでした。1964年に制定されたこの条例ではすでに『著しく性的感情を刺激する図書類』を不健全図書に指定し『成人コーナー』に移動するよう販売者に義務付けていますが、改正案ではその基準に『非実在青少年に対するレイプなどを賛美・誇張しているもの』を加えようというものです。
 しかし、漫画家や出版社などから反対意見が相次ぎ、3月の第一回定例議会では結論を先送りする継続審議となりました。明治大学の藤本由香里准教授は「18歳未満の高校生の性について(おとなが)ポルノでウハウハ見るのは構わないけれど、肝心の高校生が高校生の性を考えるための描写は一切見せてはならないという非常に矛盾したことになると思います」と話し、集英社の大竹力三部長は「表現の自由ということは出版社側は言いたくないですが、今までの規制でもさんざん自主規制はやっているからそこにまた規制することはないと思う。それが出版社の意見だと思う」と話しています。春以降も各地で反対の集会が開かれています。『規制基準があいまいで、拡大解釈による表現の弾圧を招く恐れがある』ことが主な反対の理由です。首都大学東京の宮台真司教授は「こんな無限定的な規定を条例が掲げていること自体、東京都の恥です」と話し、都はHPで具体的な例を挙げるなど「決して表現の自由を侵害するものではない、区分陳列するだけ」という説明を繰り返しています。
 一方、規制強化を急ぐべきという声もあります。賛成派の赤枝恒雄医師は「年齢制限をぜひお願いしたい」と話します。2度にわたって改正案成立を要望した都小学校PTA協議会では「子どもが性的対象となる被害のまん延、子どもの性意識への悪影響という危機的な現実を受けての改正案。大人の権利や自由ばかりを叫ぶのではなく子どもたちの育ちを優先的に考えてほしい」とコメントを寄せました。また、東京弁護士会からは子どもを権利侵害から守るための施策は新たな条例で制定し、教育や広報啓発活動によるべきだという指摘もあります。民主党の山下太郎都議は「都には改めて改正案の速やかな撤回を要望するものであります」と話し、自民党の小礎明都議は「修正案を都議会公明党の皆さまとともに作成しました」、石原慎太郎知事は「条例改正案で実施しようとする内容は東京の子どもたちを守り健全に育てるために必要不可欠なものであります」と話しています。
 過激な性情報から子どもを守ることと、表現の自由の保障すること…今月開会した都議会でも引き続き審議が行われ激しい議論が繰り広げられています。