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1泊2日バスツアー 八王子市、ものづくり企業の魅力を学生に

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2012年2月21日


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 先週、八王子市ではこれから就職活動を迎える学生を対象に、市内のものづくり企業を訪問する1泊2日のバスツアーが行われました。大手企業に目が行きがちな学生に地元の中小企業の魅力を伝えようと企画されたこのツアーに密着しました。

 午前9時、JR八王子駅前におよそ30人の若者が集まってきました。八王子周辺の大学や専門学校に通う学生です。学生たちは2つの班に分かれて、2日間でそれぞれ5つの中小企業を訪問します。ツアーを企画した八王子市の担当者は「市内にはものづくり企業が1500社もあるが、ほとんどの学生はこれらの企業のことを知らないまま、大手への就職を目指す傾向がある」と話します。
 ツアーに参加した学生の1人は「大手企業の方が魅力が多いんですけれど、中小企業も見て回りたいと思って参加しました。(中小企業は)全然考えてなかったんですけど、今回チャンスだと思って」と話しました。
 最初に一行が訪問したのは、新しい取り組みで注目を集めている物流会社・サンキューコーポレーションです。社長自らが案内してくれます。「収納館」という事業では家で本を保管しきれない人が多いことに目を付け、温度や湿度の調整も行う本の保管に特化したトランクルームを作りました。また、ロジスティックセンターと呼ばれる物流倉庫では急成長するネット通販のサポートに力を入れ、在庫の管理や配送はもちろん、注文の受け付けや商品の写真撮影、見やすいホームページの提案なども行っています。どちらも社内提案から事業がスタートしました。社員の提案をすぐに事業展開できることが中小企業の魅力だとして、秋山悟社長は「やりがいは即効性がある。自分の個性を生かして何かやりたいのなら、選択肢に中小企業を入れるのも面白いのでは」と学生たちに話しました。
 続いて訪れたのはラベルの受託製造を行っている会社です。新幹線の車体の外装や車内のステッカーなど、独自の技術で特殊な印刷を行う専門性の高い先端企業です。社内ではシールの製造過程などを見学し、学生たちは「カス取り」と言われるシールとして不要な部分を取る作業を実際に体験させてもらいました。体験した学生からは「すごく難しかったです。無事できてうれしいです」といった声が聞かれました。また、訪問を受けた企業側にとってもメリットがあったようで、山王テクノアーツの田中祐社長は「それぞれの社員が自分の持ち場をより分かりやすく伝えようとかなりの準備をして説明に臨んだので、われわれにとっても勉強なった」と話します。
 その日の夜、セミナーハウスでは社長たちも参加して「働くこと」をテーマにディスカッションが行われました。学生たちからは社長に対して質問が相次ぎ、学生から「大企業にしなくても中小企業でも、いい物を提供し続ければ、それがおのずと自分の利益という形で戻ってくると考えているのか」といった質問が出ると、サンキューコーポレーションの秋山社長が「これから経済はどんどん後退していく。ハンドリングしやすいから大企業じゃない方がいい」と答えるなど、討論は夜遅くまで続きました。
 次の日、学生たちは広告デザイン会社などを訪問しました。この広告デザイン会社・アイキャンディは従業員12人全員が女性で、女性ならではの感性と細かい気配りで作る提案型のデザインが売りだということです。毎朝20分間、オフィスを徹底的に掃除することもこの会社の特徴です。福森加苗社長は「掃除を見ればその人がどういう仕事をするか分かる。段取りがいいのか悪いのか。それで教育方法をその子に合わせて変えていってます」と話します。この日はツアーに参加した学生たちも掃除を手伝いました。「掃除をすることで人が嫌がることも率先してやるようになり、仕事にもいい影響がある」と福森社長は話します。
 会社訪問を終えた学生たちはセミナーハウスに戻り、ツアーを通じて感じたことを1人1人発表しました。ツアーに参加した学生からは「ねじを大量に生産したり、大企業が『これを作れ』と言って『はい、分かりました』というような感じで作っているというイメージがあったが、日本の技術をリードしていてすごいなと思った」「中小企業の良さとして社長との距離が近い。自分のやりたいことをやらせてもらえるハンドリングの軽さが魅力だと感じた。自分もそういった企業に勤められたらいいなと思いました」などといった意見が出て、中小企業に対するイメージに変化があったようです。発表会で参加者の多くは「会社名や給料にこだわらず、やりがいや社内の雰囲気を大切にしたい」と、これからの就職活動への抱負を語っていました。
 ものづくり企業の現場を訪れて社長の思いや社風を肌で感じることで、漠然と大手企業を目指していた学生たちの就職への考え方は確実に変わっていったようです。