*2006.06.15up*
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――― 萩尾さんはもともと、理工科系の研究者を目指していらしたとか。そういう経歴もあって、 講演やシンポジウムで、環境問題についてもお話なさることが多いようですね。
環境問題に関しては、けっこう悲観的なんですよ。 だから「もっと危機感を持ってほしい」という思いで、講演などを行っています。 専門書本は皆さん、なかなか読む気にならないだろうから、地球は今どうなっているのか、 分かりやすく、噛み砕いてお話することが、私の役目かなと思って。たとえば、オゾンホールに関しても、 言葉そのものは皆さんけっこうご存知ですよね。新聞などでも、よく出てきますから。 ただ、それがどのくらい自分たちに影響してくるかという点になると、 他人事みたいに思っている人がまだまだ多いのではないでしょうか。――― 外に出るときは、紫外線を防ぐために完全武装とか。
今の紫外線が、どれほど害があるのか、情報はかなり入ってきますから。 太陽の光というのは、体内でビタミンDを生成するために必要であることも確かなんです。 でもその分くらいは自然に受けているだろうから、なるべく紫外線は浴びないほうがいいと思います。 だから犬の散歩に出かけるときは、つばの大きい帽子を被り、必ず長袖を着て、365日手袋をしています。 それでも焼けますから、紫外線は恐ろしい。透過性が強いんです。 だからといって、外を歩かないというのも、不健康でしょう。 最近は犬が年をとってきたので、朝1時間、夕方は20分くらいですが、以前は朝夕1時間ずつ散歩していました。 この2時間のウォーキングは、私自身の健康のためにすごくいい時間。 それに歩いていると、「あ、この木に花が咲いた」とか、季節の変化も感じるし、感受性が刺激されますから。―――環境問題以外に、今、興味を持って、何か勉強していらっしゃることはありますか?
余った時間は、ほとんど本を読んで過ごしています。 読みたい本がたくさんあって、時間が足りないくらい。 本当にいろいろなジャンルのものを読むんですよ。 小説、自然科学の専門書、ノンフィクション、経済学の本…… ちょっとでも興味が引かれると、すぐに手に入れます。 うちの家計を圧迫しているのは、食費と本代です(笑)。――― 食事には、かなり気を遣っていらっしゃるようですね。
外食はほとんどしません。それなのに、なぜこんなに食費がかかるのか(笑)。 うちは毎日必ず、果物を食べるんです。 オレンジだったら、1回1人2個までと決めているんですが、それでも家族3人で食べれば6個でしょう。 午前に6個食べて、夕方のおやつにまた果物を食べて、という感じですから。野菜も、かなりたくさん食べます。 あまり生野菜は食べずに、火を通しますので、量がはけるんですよ。ほうれん草なんて、1人1束食べますよ。 野菜に関しては、なるべく国産の有機栽培のものを買うようにしています。――― このビタミンがちょっと足りないから、この野菜を使った料理を1品加えようといった具合に、 けっこう栄養のバランスも考えていらっしゃるとか。
頭の中で、だいたい計算しています。うちは長年、主食はご飯に押し麦を加えたものなんです。 私が小さい頃、母が「穀類は最低2種類、種類が多ければ多いほどよいらしい。 だからこれからうちは麦を混ぜます」と言って、麦飯を炊くようになった。 それを食べて育ってきたので、それが当然だと思って、子どもにもそれを食べさせてきたんです。 あるとき小児科のお医者さんに、「うちはお米に麦を混ぜていますけれど、どうなんでしょう?」と伺ったら、 「ぜったい、それはやめないように。続けたほうがいいですよ」と言われました。――― 萩尾さんは食生活でもなんでも、きちんと理屈がわかって納得しないとダメなたちだそうですね。
そうなんです。人間を理系、文系に分けるのは無意味だと思っていますが、 そういう点はやはり、理系の人間なのかもしれません。 だから食品でも化粧品でも、ただ「いいらしいよ」と言われただけではダメ。 「なんで?」と訊ねて、「分からないけど、いいらしいよ」などと言われたら、手を出しません。 ただスキンケアに関して言えば、最近どの化粧品会社も、科学的にきちんと説明しているものが多いでしょう。 だから読むとどれも、いいように思えてくる。そのなかで、自分なりに納得できる理論に基づいているもの選びます。 「エンビロン」の創始者、ドクター・フェルナンデスの本も読みましたが、とても興味を持ったし、なるほどと納得しました。 スキンケアの場合、理論に納得すると、次に3ヶ月間、自分を実験台にして実験してみます。 というのは、どんなにいいものでも、自分に合うか、合わないか、という問題があるでしょう。 それで3ヶ月間経過を見て、納得できる効果があれば、それを取り入れるようにしています。――― なにごとにおいても、「選択」ということを、すごく重要視なさっているようにお見受けしますが。
食べものやスキンケアといった身の回りのことから、 人生の大きなことまで、すべて決めるのは自分だと思うんです 。決定権は自分にある。そのかわり、結果に責任を持つのも自分。 私はなにごとにおいても、人のせいに、社会のせいにしたくないんです。 もし選択眼がなかったがゆえに何か間違ってしまったと思ったら、 選択眼を養うために、勉強すればいいと思っていますし。 もちろん、勉強するのが面倒な人は、しなくてもいいんですよ。 それも、その人の人生だから。ただ、それでまた同じような間違いをしてしまったとしても、 人のせいにできないですよね。選ぶ自由があるというのは、すごく幸せなこと。 その幸福を大事にして生きていきたいですね。
インタビュー/テキスト 篠藤ゆり


