*2006.07.05up*
第7回*中丸三千繪さん 第7回*中丸三千繪さん「思いきって新しい扉を開くと隠れていた可能性を発見できる」

――― 番組で、これから20年間、いろいろ新しい計画があるとおっしゃっていましたが、どんな計画ですか?

一番の夢は、宇宙に行くこと。今、アメリカで、人間の筋肉や食べ物について勉強していますが、 それも研究材料を持って宇宙に行くという目的があるから。無重力状態で筋肉が使えなくなった時に、 声帯の合わさり方がどうなるか、声帯の振動数がどうなるかといったテーマで研究したいんです。 そのためにスポーツ整形の学会に行ったり、内臓のことを勉強したいから、手術の見学もたくさんしています。

――― なんでも小さい頃、科学者になりたかったとか。

そうなんです。小学校2年生から中学2年生まで、海草の細胞を調べて、 どういう栄養を与えると細胞の分裂が活発になるか、といったような研究していました。 学生科学賞も受賞しています。ブドウも種から育てて、ブドウジュースを作って、発酵させてワイン造りにも挑戦したし。 おかげで今もワインが大好き(笑)。先日も酔っ払ってドアノブにぶつかって、肋骨を骨折してしまって(笑)。 痛さをこらえて、1万人のコンサートを3回続けてやりました。

―――肉体的な若さを保つためにも、いろいろな努力をなさっているそうですね。

定期的に10日間ぐらい、野菜を20種類くらい入れたスープを主食にして体をきれいにします。 その間は、大好きなワインもお預け。歌の仕事はものすごく肉体を使うし、 普段からジョギングや水泳を習慣にしているので、動物性たんぱく質も必要。 だから、ゆでた牛肉にマスタードをつけて、少しいただきます。 それと、よく身体を締めつける下着をつける方がいますが、あれは血行を悪くするし、よくないみたいです。 だから私はなるべく、ウエストのゆるい服しか着ないようにしています。 そのかわり自分に厳しくして、食べ過ぎないようにも気をつける。 ゆるい服を着ていると、つい甘やかして食べ過ぎてしまいがちですから。

――― 世界をかけめぐってご活躍されていますが、時差や睡眠不足など、肌には過酷な条件ですよね。それなのにお肌がつやつやしていますよね。

水分補給や紫外線対策はもちろん大事ですが、精神状態も肌にすごく影響します。 肌は心の窓。やりたいことを楽しくやる人生が、肌の健康にもつながると思います。 だから私は、イヤなことは引きずらないようにしています。 実は私、中学生から20歳くらいまで、胃潰瘍で苦しんでいたんです。 たぶん精神的なものだったと思います。でもイタリアで暮らし始めて、 「イヤなことはやらない。やりたいことだけをやっていこう」と決めたら、見違えるように健康になりました。

――― 中丸さんみたいに、いつも前向きでいるには、どうしたらいいんでしょう?

落ち込むには必ず原因がありますよね。でも、困難や悲しみは自分を大きく育てる糧だと思うようにしています。 たとえば男の人から、ふられたとします。その時はすごくつらいけれど、 相手を恨んだり落ち込むのではなく、「もっとステキな人に出会うためのステップだ」と 発想を切り替えたら、違って見えてきますよね。人間関係の悩みも、 「自分をもっと分かってほしい」という思いからスタートしている場合が多いけれど、 私はそうではなくすべてを受け入れて、「愛情を100倍にして相手に与えてあげよう」と考えるんです。 すると、解決できるトラブルって多いんですよ。 自分を太陽だと思えばいいんですよ(笑)。私がいなかったら、みんな生きていられないんだって(笑)。 主婦の方も、「他の家族は好きなことをやっているのに、なんで私だけ毎日家事ばっかりしているんだろう」と思ったら、苦しいでしょう。 「私がご飯を作っているから、主人も子供も、毎日生きていけるんだ。私のおかげよ」と自分を褒めたらいいと思いますよ。 でも私も、すべてをポジティブに考えられるようになったのは、38歳を過ぎてからです。

――― 何かきっかけがあったんですか?

第7回*中丸三千繪さん 人生をもう一度リセットしようと思って、ステージの仕事をほとんど休んでアメリカで生活を始めたんです。 ちょうどその頃、離婚も経験して、これからの20年間をイキイキと生きるには、今、自分を変えるしかないと思って。 仕事が次々と入っていたので、中断するのはものすごい決断がいりました。 でも、55歳になった時にゼロから始めるのと、今の5年間、仕事から離れるのとどちらがいいかと考えて、決心したんです。 アメリカでトレーナーについて肉体トレーニングをしたり、発声も勉強し直したり。 それだけではなく、やりたいことはなんでもやろう、と。 スキーやスキューバーダイビングなど、大自然のなかで楽しむことを始めました。 それまでは、ホテルと劇場とレストランを往復する人生。まともに太陽を拝んだこともなかったんです。 でも海の中や雪山など、ダイナミックな自然に包まれることで、心のあり方も大きく変わりました。 不思議なもので、昔の写真のほうが今より老けているんですよ。 やっぱり心が本当にイキイキしていると、人間、若々しく、ハツラツと見えるんですね。

――― 自然からも、大きなエネルギーを得ているんですね。

動物も好きで、牛、羊、馬を飼っています。イタリアの家には、鴨が70羽くらいいるし。 動物と対話していると、生命の力をすごく感じて、学ぶことが多いですね。 たとえば野生動物は、足を1本折っても、食料を捜したり敵から逃げるために、動かなくてはいけない。 うまく筋肉の使い方を工夫して、3本足で歩いたり走ったりするんですね。 そこで私も、この間肋骨を折ったとき、今まで使ったことのない筋肉を使って歌ってみたんです。 そうしたら、ちゃんと歌えた。いざとなると、人間も野生の動物と同じだなと思いました。 私たちが思っている以上に、人間にはまだまだ隠された可能性がある。 本当はもっと能力があるのに、環境によって抑えつけられたり、使わないために、眠ったままになっている。 だからその気にさえなれば、可能性というのは、どんどん切り開いていけるんですよ。

――― 中丸さん自身、可能性をどんどん切り開く人生を歩んでいらっしゃいますね。

自分の世界を広げていくと、また次に新たな閃きがある。今の私は、毎日が、そんな感じです。 とにかく好奇心がすごくて、人の10倍くらい、いろいろなことをやっているかもしれません。 ただ趣味としてやっていることは、スキーにしろ、ダイビングにしろ、どれも紫外線と無関係ではないので、充分なケアが必要。 イタリアのコモ湖畔に家がありますが、あのあたりでは初夏は外で食事をするのが一般的だし、地中海にクルーザーで出かけるのも好きですし。 飛行機の操縦もしますが、コックピットにいると、すごく紫外線を浴びてしまいます。 南半球は、特に紫外線が強いみたいですね。オーストラリアにバカンスに行ったとき、 夕方だったし、曇り空だったのでちょっと油断したら、たった15分で日焼けしてしまいました。あれにはゾッとしました。

――― 最近では、紫外線による光老化を防ぐために、肌から直接ビタミンを浸透させるスキンケアもあるそうですよ。

ぜひ飛行機のコックピットにいる時に持参して使ってみたいですね。

インタビュー/テキスト 篠藤ゆり

Profile

中丸三千繪-なかまるみちえ-
第7回*中丸三千繪さん 茨城県出身 1986年小澤征爾指揮R・シュトラウス「エレクトラ」のタイトルロールでデビュー 1990年「マリア・カラス国際声楽コンクール」に優勝後 ミラノ・スカラ座をはじめ欧州各国より出演依頼が殺到 ニューヨークを拠点に活躍中 今年でデビュー20周年を迎える

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