*2006.07.19up*
第8回*服部真湖さん 第8回*服部真湖さん「若い時は視野を広げ 40で人生の目標に全力投球」

――― 小さい頃から日本舞踊に親しまれ、その他バレエ、タップダンス、フラメンコなど、 さまざまな踊りをやっていらしたとか。踊りを継続してきたことで、得られたものも大きいと思いますが。

まず、健康にいいですよね。身体を使うのでほどよい筋肉の張りを保てますし、 年齢とともに硬くなりがちな筋も柔らかくすることができますから。 それと踊りというのはエクササイズと違って美しく見せるのが前提なので、 どうやったら自分を美しく表現できるか、"見られている"という感覚をいつも意識できます。

――― その踊りが生まれた文化によって、"美しさ"の表現が違いますよね。

えぇ。それがとても興味深いですね。自分が生まれ育った国で育まれた考え方とは、 違う考え方があり、"美"ひとつとっても、国によって見方が違います。 いろいろな国の踊りを習うと、他の文化を多少なりとも感じることができて、すごく面白いですよ。

―――お仕事でもプライベートでも世界各国を旅されて、踊りも世界のさまざまな踊りを経験なさった。 そこから日本舞踊に戻ってきたのはなぜですか?

どんなに頑張ってフラメンコを踊っても、私はスペイン人にはなれないと気づいたのが一つ。 もう一つは、ある程度の年齢になって、やはり自分のルーツを大事に思うようになったんです。 自国の文化として堂々と世界中で見ていただけるのは、やはり日本舞踊ではないか。 これから自分はどう生きていくかを考えて、40歳になる少し前に、日本舞踊に絞ろうと決めました。 若いときは"広く浅く"でもいいけれど、歳を重ねて、そろそろ深く、 そして高いところを目指すべきではないかと思ったんです。 私の場合、主人が外国人ですから、ずっと日本で暮らせないかもしれません。 異国の生活になったときに、しっかり自分を持っていたかったし、教えるためには資格がないと看板が出せません。 自分の娘に、私が人生のなかで学んできたことを伝えたい、という気持ちもありました。

――― 教える立場になって、今、感じていらっしゃることは?

今は畳のない家も多いでしょう。生まれてから畳で座ったことのない子どもたちに 日本舞踊を教えるのは、こちらもそうとう忍耐力がいります(笑)。 しかも他の誘惑がたくさんあるなかで、「日本舞踊のお稽古に行きたい」と心をひきつけるためには、 「お稽古に行くのが楽しい」と思ってもらわないと。 上手にできたらほめてあげるとか、お稽古の後に楽しくおしゃべりをするとか、私なりに工夫をしています。 ただ、お稽古というのは、楽しいだけでもダメなんですね。 なにごとも基本は大事ですが、基礎を学ぶのはつらいし、今のお子さんは我慢するのが苦手ですから。 身につけるのに、時間もかかります。でも基礎をきちんと学んでもらいたいし、 未来を担う子どもたちには、自分が知っていることはすべて教えたい。 その後は、その子のジェネレーションなりのものを加味して何かを創っていけばよいと思っています。

――― 最近は、歳を重ねてから、1から踊りを習いたいという方も増えているようですね。

すばらしいことだと思います。新しいことを学ぶのは、すごく新鮮で、楽しいですよね。 「いまさら」とか「この歳からでは無理だし」などと思ったら、つまらない。 踊りというのは、普段使わない筋肉をたくさん使うし、体にも心にもいいことですから。 なかなかうまくいかないと、つい「恥ずかしい」などと思ってしまう人もいるようですが、 習いに来ているのだから、できないことはちっとも恥ではありません。 自信を持って、その人なりのペースで楽しめばいいと思います。

――― 服部さんは常に前向きでいらっしゃいますね。日頃、どんなところからエネルギーを得ているのでしょう?

第8回*服部真湖さん 最近は、些細なことから喜びやエネルギーを得るようになりました。 たとえば歩きながら「あぁ、アジサイが咲いている」などと、季節おりおりの花の美しさを感じるとか……。 花はじっとそこにいるだけで、みずから語らないけれど、美しさを精一杯アピールしている。 人間は言葉も使えるし、動けるし、笑うことも怒ることもできる。 すごく自由な存在なのに、若い頃はそれに感謝せずに生きてきたと、ふと振り返ったりします。

――― 何か困難にぶつかったときは、どのようにして乗り越えていらっしゃいますか?

どんなに頑張っても、ことがうまくいかないときってありますよね。 そういうときは、「しょうがない」と割り切ります。 そうなったのには理由があるし、相手だけが悪いのではなく、必ず自分にもどこか悪いことがある。 そう思うと、落ち着きますよね。ですから大変なときこそ、 日頃の自分の行動を改めて客観的に見るのも大切ではないでしょうか。 あとは私の場合、考えるのをやめて寝る(笑う)。 一晩たつと、そんなに大きな問題ではなかったと気付くこともあります。 踊るのもいい解決法ですね。身体を動かしている何時間かは、ごたごたを忘れてしまいます。 動かし終わった後は、スカッとした気分になりますよね。すると、不思議と解決の糸口が見つかるんです。

――― 番組で、小さい頃、お師匠さんの美しさに憧れたとおっしゃっていました。 今度はご自身が憧れられる存在に……。美しさを保つために、どんなことに気をつけていらっしゃいますか?

お稽古のときはすごく汗をかくので、ほとんど素顔です。 ですから、素顔でもきれいだなと思っていただくために、それなりに努力しています。 特に気をつけているのが、日頃の食べ物。基本的に手作りで、既製品はほとんど食べません。 心がけているのは、旬の野菜や魚など、季節を大事にすること。 「この時期にこれを食べると冬に風邪をひかない」といった昔からの言い伝えには、やはり根拠があるみたいですね。 野菜も旬には、ビタミン含有量がピークになるらしいですから。
スキンケアも重要ですね。他のお師匠さんたちを見ると、素顔が真っ白なんですよ。 気をつけないといけないと、実感しました。肌が白くないと、舞台でのお化粧がうまく映えませんし。 私は体質的に、どうも紫外線を吸収しやすいみたいなので、よっぽど心がけないと。 最近は、ビタミンが入っている化粧品もあるみたいですね。基礎化粧品の選び方は大事だなと思います。
私が目指すのは、歳相応の美しさ。40、50歳になって、20代と同じになろうなんて、無理な話ですから(笑)。 きれいな40代、きれいな50代でいたいなと思います。

――― これからの目標は?

趣味に関しては、チャレンジしたいことはたくさんあります。 木目込み人形を作っていますが、もっと作りたいし……。 でも今は、やはり踊りを深めるのが一番ですね。 日本舞踊は生涯の仕事だと思っているし、伝統を伝えていくという使命感も持っています。 そのためには、出し惜しみをしてはいけない。 出すことで、新しい出会いがあるんですね。おかげさまで毎日、忙しくしています。 ただ、日本にはすばらしいお師匠さんが大勢いらっしゃいます。 私みたいな駆け出しに何ができるかと考えたとき、言葉も多少できますから、 ボランティアなどで海外の方に日本の踊りを見ていただく活動も向いているのではないか。 いずれ、異文化間の架け橋になれたらいいな、と夢見ております。

インタビュー/テキスト 篠藤ゆり

Profile

服部真湖-はっとりまこ-
第8回*服部真湖さん 東京都出身 1978年キャンペーンガールでデビュー1984年〜1994年アメ リカで生活 その後語学力を生かして海外リポーターとして活躍日本舞踊・サルサ・ フラダンスと様々なダンスに挑戦 最近では日本の踊りを世界に広めたいと日本舞踊 を本格的に再開昨年「名取り」になる

ページの一番上に戻る
Copyright (c) PROTEA JAPAN Co.,Ltd All Right Reserved.